Covid-19のパンデミックの影響で、2021年に延期された東京オリンピック。
バスケットボール女子の出場国12カ国は2020年2月に決定しています。
ここでは、東京オリンピックが開催されたときの参考になればと、日本を除く出場11カ国の情報を、この2年間に開催された以下の国際大会の結果や映像を整理しつつ、まとめていきます。戦術的な話などはありません(そもそもできない)ので、あしからず。
- 2020年2月に行われたオリンピック予選
- 2019年のオリンピック地区予選(アジア・オセアニア、アメリカ・アフリカ)
- コンチネンタルカップ(アジアカップ、ユーロバスケット2019,2021予選、アメリカップ、アフロバスケット)
オーストラリア代表
今回はオーストラリア代表、愛称はオパールズ(Opals)です。
オセアニアのチームはアジアカップ(2017年以降)やオリンピックの予選でも対戦するようになったため、日本代表との対戦も増え、試合を見る機会が多くなっているチームです。
FIBAランキングは2位(アジア・オセアニア内1位) ※2020年2月12日時点。
オリンピックでは準優勝3回(2000,2004,2008)、3位は2回(1996,2012)、ワールドカップでは2006年に優勝もしており、2018年のワールドカップ(スペイン・テネリフェ)では2位。世界の強豪国の1つです。
アジア・オセアニアのコンチネンタルカップ、アジアカップには、2017年から参加し準優勝、2019年は3位になっています(いずれも日本代表に敗戦)。
中心選手
2020年3月2日に東京オリンピックの候補選手19人が発表されています。
19人中13人がWNBAと契約していた or しています(ドラフトのみやトレーニングキャンプ契約を含む)。この2〜3年、代表ロスターに入っている選手ばかりで、サプライズ的な選出はありません。
AUSTRALIAN OPALS ANNOUNCE 2020 OLYMPIC SQUAD | Basketball Australia
【追記 2020年7月13日】
2020年の代表候補23人が発表されました。上記の19人からはニコール・シーキャンプが抜けました。ジティーナ・オクーソ(Aokuso)、シェイラ・ヒール、ジャズ・シェリー、マディー・ロッチ、ティアナ・マンガカヒアら若い選手も選ばれています。
Basketball Australia’s 2020 Senior National Women’s Squad | Basketball Australia
この中から核となる選手を挙げていきますが、オーストラリア代表を語るには、まずはこの選手を挙げないわけにはいきません。
世界のNo.1センターの一人、リズ・キャンベージ。203cmの高さ・強さを活かして、攻守にゴール下、ペイントを支配。そのサイズにしてはというと失礼ですが、シュートも上手く、ペリメーターからも、時には3Pも打ちます。2020年2月のオリンピック予選のブラジル戦では激しいマークに遭ったりファウルトラブルに苦しんだものの、フリースローを15/15で決めきったのも印象的でした(29得点、7リバウンド、5ブロック)。
キャンベージの得点のバリエーションは、2018年にWNBAの1試合当たりの最多得点記録を更新したゲームのハイライトで確認できます。
続いては、レベッカ(ベック)・アレン。3Pを得意とするシューターで、手足の長さと運動能力でニックネームは「スパイダー」。NBA選手のドノバン・ミッチェルと同じです(ミッチェルの場合はスパイダーマンが好きだからというのが由来みたいですが)。
WNBAでも5シーズンを過ごし、2019シーズンは控えではあるもののプレイタイムも増え(17.2分)、3P%も42.6%(29-68)とキャリアハイを記録。
アジアカップ2019では大会のオールスター5に選出され、オリンピック予選でも活躍し、オーストラリア代表でも中心選手になってきました。レジェンド、ペニー・テイラーの後継者になってもらいたいものです。
続いては、PGのレイラニ・ミッチェル。2020年で35歳になるベテラン。
165cmと非常に小柄ですが、クイックネスとWNBA通算39.6%と高確率な3Pを武器にWNBAでも11シーズン過ごし、2019年には自身2度目となるMIPを獲得し、いまだに衰えを知りません(MIPを2度受賞したのはミッチェルだけ)。
アメリカ生まれで母親がオーストラリア出身ということで、帰化選手枠です。
※オーストラリア代表の帰化選手
ベテランでアジアカップ2017 MVPのケルシー・グリフィン、WNBAシアトル・ストームのサミ・ウィットコム(W杯2018出場)が候補に入っています。ただ、やはりPGとして外せないようで、ミッチェルが第1候補と思われます(他の二人は、2,3番の選手)。
次は若手のアランナ・スミスやエジー・マグベゴーあたりに触れたいと思いましたが、ベテランガードのジェナ・オヘアを。
手首の骨折のため、2020年2月のオリンピック予選は欠場しましたが、チームリーダーとして欠かせない選手だと思います。
ちなみに渡嘉敷来夢とシアトル・ストームでチームメイトでした。
コーチ
ヘッドコーチのサンディ・ブロンデロは、WNBAフェニックス・マーキュリーのHCも務めています。現役時代はSGで、オリンピック・世界選手権ともに4度出場したオーストラリアバスケ界のレジェンドです(現役時代のプレイは、2000年のシドニー五輪の決勝の映像で。USA代表HCのドーン・ステイリー(PG)も出ています)
夫のオラフ・ランゲがアシスタントコーチ。以前はロシア代表やUMMCエカテリンブルグでHCを務めたり、現在はWNBAシカゴ・スカイのACとなっています。
チームの印象
(私見です ※信用するかどうかはあなた次第)
アンダー世代も含め、選手層が厚く、東京オリンピックで上位に争うチームであることは間違いありません。
大黒柱のリズ・キャンベージに頼りがちになってしまう印象もありましたが(あんな選手がいたら頼るのも当然ですが)、オリンピック予選では3Pが好調だったレベッカ・アレン(3試合で11-17 64.7%)にもエースの存在感が出てきたのがプラス材料です。
それに加えて、同じくWNBAでプレイするシューターのステファニー・タルボットのステップアップにも期待しています。
また、東京オリンピック後の世代交代を見据えて、アランナ・スミス、エジー・マグベゴーら若手フロントラインも東京オリンピックでインパクトを残して欲しいところです。
PGも若手の台頭を期待していたのだけど、クリスティ・ウォレス(ベイラー大、WNBAアトランタ・ドリームにドラフト指名)はACL断裂を繰り返し、シラキュース大のティアナ・マンガカヒアは2019年に乳がんが見つかり、ようやくコートに戻れる段階という不運が続いているのが残念。
以下の動画でワールドカップ2018のセミファイナル、スペイン戦をカイラ・ジョージとレベッカ・アレンが振り返っていますが(2020年5月15日配信)、試合開始前のチームの雰囲気なども映し出されているので、オーストラリア代表の雰囲気を知るのにオススメです。
以下は最近の国際大会から。
東京オリンピック予選 フランス大会(2020年2月)
2020年2月6日〜9日にかけて開催されたバスケットボール女子 東京オリンピック出場権をかけたオリンピック予選 フランス大会(16チームが4グループに分かれ、各組上位3チームが出場権を獲得)。
オーストラリア代表は初戦のフランス戦に敗れたもののプエルトリコ、ブラジルには勝利し、東京オリンピック出場を確実に決めました。ブラジル戦は3Qまで接戦でしたが、オリンピックに出場するには勝つしかなく粘るブラジルを4Qに突き放しました。
キャンベージは初戦のフランス戦で地元ファンに嫌われてしまったようで、かなりブーイングを受けていました。
ロスター
Australia – FIBA Women’s Olympic Qualifying Tournament – Bourges, France 2020 – FIBA.basketball
No | 名前 | POS | 身長 | 生年 |
---|---|---|---|---|
1 | ローレン・ニコルソン | F | 182 | 1993 |
5 | レイラニ・ミッチェル | G | 165 | 1985 |
6 | ステファニー・タルボット | SF | 188 | 1994 |
8 | リズ・キャンベージ | C | 203 | 1991 |
9 | ベレッカ・アレン | F | 188 | 1992 |
10 | ケイティ・エブゼリー | G | 178 | 1990 |
11 | アランナ・スミス | F | 190 | 1996 |
12 | サラ・ブリッツァヴス | PF | 188 | 1993 |
13 | エジー・マグベゴー | F | 193 | 1999 |
14 | マリアンナ・トロ | C | 196 | 1989 |
15 | カイラ・ジョージ | F | 193 | 1989 |
23 | テッサ・リーヴィ | PG | 172 | 1993 |
戦績
[負] 対 フランス 63-72
[勝] 対 プエルトリコ 100-74
[勝] 対 ブラジル 86-72
スターターは3試合とも同じで、以下の5人。
#5 レイラニ・ミッチェル G
#6 ステファニー・タルボット SF
#8 リズ・キャンベージ C
#9 レベッカ・アレン F
#15 カイラ・ジョージ F
オリンピック アジア・オセアニア予選(2019年11月)
2019年11月14日〜11月17日、アジアカップ2019 ディヴィジョンAの8チームが参加した東京オリンピックのアジア・オセアニア予選。
アジアカップ2019で8位のインドは本来であればディヴィジョンBに降格ですが、Div.Bが開催されなかったので、そのまま予選に出場しました。
4チームずつの2組に分かれ、上位2チームがオリンピック予選に進出となりますが、アジアカップ2019上位4チームが進出しました。
オーストラリアはチャイニーズ・タイペイとインドは寄せ付けず完勝。最終戦は日本の3Pが1Qに爆発して差をつけられてしまい(キャンベージがテクニカルファウル2回で退場したり……)、2勝1敗の2位でオリンピック予選進出を決めました。
(中国、韓国、ニュージーランドの入ったA組は、初戦で韓国が中国をアップセットしたことで非常に面白い展開でした)
ロスター
オリンピック予選のロスターで入っていないのは、#1 ローレン・ニコルソン、#11 アランナ・スミス、#12 サラ・ブリッツァヴス。
スミスはケガがあったためです。
以下の3人が登録されています。
#4 ジェナ・オヘア(G 186cm 1987年生)
#7 テッサ・マジェン(G 180cm 1990年生)
#11 ダーシー・ガービン(PF 188cm 1994年生)
大会前にブロンデロHCはアジアカップ2019で敗れた日本や中国の早いガードに対応するために、ガードの選手たち(#7 マジェン、#23 リーヴィら)を準備したと語っていました。日本戦ではその効果があったかは疑問です。
戦績
[勝] 対 チャイニーズ・タイペイ 84-51
[勝] 対 インド 114-29
[負] 対 日本 69-82
スターターは以下の5人。
#5 レイラニ・ミッチェル G
#6 ステファニー・タルボット SF
#8 リズ・キャンベージ C
#9 レベッカ・アレン F
#15 カイラ・ジョージ F
※インド戦はキャンベージではなく、#14 マリアンナ・トロ
アジアカップ2019(2019年9月)
2019年9月24日〜29日に開催されたアジアカップ2019。
8カ国が出場し、日本が大会4連覇。準決勝で日本に敗れたオーストラリアは3位。2位は中国で、4位は韓国でした。大会のオールスター5に #9 レベッカ・アレンが入りました。
ロスター
WNBAのプレイオフと日程が被っていたこともあり、#8 リズ・キャンベージは外れています(アジアカップ開催の時点では敗退していましたが、合流するには厳しい日程でした)。#14 マリアンナ・トロはケガで欠場。
上記2大会に出場していない選手としては、#35 ニコール・シーキャンプ(G 182cm 1992年生)がロスターに入っていました。
戦績
グループフェイズ
[勝] 対 フィリピン 123-57
[勝] 対 ニュージーランド 82-44
[負] 対 中国 69-70
トーナメント
[勝] 対 チャイニーズ・タイペイ 90-51
準決勝
[負] 対 日本 64-76
3位決定戦
[勝] 対 韓国 98-62
スターターはこの5人
#4 ジェナ・オヘア G
#5 レイラニ・ミッチェル G
#9 レベッカ・アレン F
#13 エジー・マグベゴー
#15 カイラ・ジョージ F
次回は?
以下8カ国の中からです。
ベルギー、カナダ、中国、フランス、韓国、プエルトリコ、スペイン、USA
カナダかなあ。
※選手名のカタカナ表記について
選手名をカタカナ表記に直すときは、できるだけ選手本人や英語実況が発音したものを自分の耳で聞いた音でカタカナにしています。音がわからない場合は、綴: 外国人名のカタカナ表記推定 を使用。
間違っている場合などは教えていただけると幸いです。